【医療/介護事業所】「勤怠管理」どうしてる?【方法と注意点まとめました】
いざ事業がスタートするとなると、いろんな準備項目が出てきます。
その中でも手間と時間のかかる項目が、スタッフの労務管理!そして「勤怠管理」…。
・とりあえず検索して探してみたけど…。このやり方で良いのかな?
こうした疑問にお答えします。
本記事をお読みいただくことで、自社にあった勤怠管理の方法や、注意点が理解できます。
この記事の目次
そもそも「勤怠管理」はなぜ必要なのか?
勤怠管理とは、スタッフの日々の労働時間を正確に把握するため、出勤、退勤、休憩時間、欠勤・遅刻の状況、休日の取得状況などを管理するものです。
なぜ医院や企業にとって勤怠管理は必要なのでしょうか。
大きく2つの理由があります。
・有休取得を把握し、取得に向けて適切な指導ができる為!
法的「義務」である為!
労働基準法第32条では、法定労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められています。これが適正に守られているか、正しい賃金を支払えているかを管理する仕組みが、勤怠管理です。
ちなみに、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)には、「賃金台帳の適正な調製」として以下のようにも定めています。
有休取得を把握し、取得に向けて適切な指導ができる為!
スタッフが明確にどの程度働いている時間を正確に把握できていなければ、正しい給与や残業代を支払えているかどうかわかりません。
正しい労働時間を算出するためにも、勤怠管理を適切に行うことが求めらます。
また労働基準法には、労働者名簿、賃金台帳とともに労働時間の記録に関する書類についても「3年間保存しなければならない」と定められています。
勤怠管理で管理すべき内容とは?
勤怠管理の項目について、労働基準法では規定されていませんが、厚生労働省の「ガイドライン」には「使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること」とあります。
そのため、必ず以下の項目は把握しておく必要があります。
始業・終了時刻、労働時間、休憩時間
労働時間を正確に把握するために必要な項目です。
賃金算定のため、始業・終業については1分単位で管理します。
時間外労働時間、深夜労働時間、休日労働時間
法定労働時間を超えて働いた時間も、当然支払う賃金に影響します。
時間外労働や深夜残業、休日出勤には、割増賃金を支払わなければなりません。それぞれ異なる割増率が適用されるので、正確に時間を把握する必要があります。
出勤日、欠勤日、休日出勤日
1ヶ月単位で勤務状況を把握することも必要です。
休日を正しく取得できているか、休日出勤があった際には振替休日や代休を取得できているかなどの情報は、従業員の健康を管理する上でも欠かせません。
有休取得日数・残日数
従業員に有休を取得させることは、使用者としての義務です。
2019年4月からの労働基準法改正では「年次有給休暇の取得」も義務化されます。適切に有休を取得できているかの把握をするためにも、勤怠管理をしっかり行うことが大切です。
勤怠管理の「手法」と「メリット/デメリット」とは?
厚生労働省の「ガイドライン」には、原則として以下のような方法で勤怠情報を記録するように指示されています。
(イ) タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
勤怠の管理方法には様々なタイプがあり、原則としてこのガイドラインに則って記録する必要があります。
ここでは、「タイムカード」「エクセル管理」「勤怠管理システム」と、大きく3つに分類しました。
タイムカードによる管理
メリット
打刻する端末を購入すれば用紙を補給するだけで済むため低コストで導入でき、操作も簡単なので誰でもすぐに使用することができます。
デメリット
始業・終業時刻しか記録できないものが多く、休日や残業時間の管理ができません。
集計作業をエクセルなど別の表計算ソフトを活用して行うことになります。そのため、集計作業にかなりの労力と時間がかかり、転記ミスなどのリスクも考慮しなければなりません。
表計算ソフトによる管理
セルに数式を設定しておけば、従業員が出退勤時刻を入力するだけで自動的に労働時間を計算します。
メリット
・インターネット上には、無料で手に入るテンプレートも数多くあり、実質0円で導入できます。
・項目を休憩時間や休日、遅刻・早退など細かく分類すれば一括管理が可能
デメリット
・基本操作は従業員任せになるので、客観的な記録とはならないこと
・入力ミスや不正申告も起こりやすく、適正に管理するのは難しいこと
勤怠管理システムによる管理
勤怠管理システムは、タイムレコーダーやスマートフォン、パソコンなどと連携して打刻から集計、分析まで一貫してシステムで管理します。
メリット
・リアルタイムで打刻管理ができる上、集計や分析にかかる手間も少なく済むこと
・給与システムとも連携できるので、転記する手間がなく給与計算ミスも防げること
・個別の勤務状況によってアラート機能を設定すれば、労働過多になっている従業員に対しても適切な指導をタイムリーに行えること
デメリット
・勤怠管理システムは総じて導入コストがかかること
勤怠管理には原則「客観的な記録」が求められます。
従業員数を含めた企業規模、雇用形態など様々な要件から、自社や従業員にとって一番適した管理方法を選ぶことが肝心です。
医療/介護事業者は、小規模からスタートし徐々にスタッフ数が増えていくような流れが多いと思います。また、事業がどこまで大きくなるのか、も想定しなければなりません。
その為、「導入のタイミング」と「最終規模」をイメージし、導入する管理方法の選択が求められます。
勤怠管理を行う上での注意点
勤務形態や雇用条件によっては、勤怠管理の面で注意しておきたいポイントがあります。
パート・アルバイトの場合
パートやアルバイトのシフト管理にも勤怠管理は欠かせません。
①休憩時間や勤務時間の変動
それぞれに「勤務日」や「勤務時間」が異なるため、休憩時間や勤務時間などをしっかり把握しておくことが肝心です。
②時給の変動
パートスタッフやアルバイトスタッフの多い職場では、個人によって時給が変わるため給与計算に注意が必要です。
「扶養控除内」希望者の場合
①所得の壁
年収や週の労働時間の規定範囲を超えると、配偶者の扶養から外れる可能性があります。従業員が「扶養控除内」での勤務を希望している場合は、扶養控除内に収まるよう勤怠管理でしっかり管理しましょう。
※ちなみに、どの「扶養控除内」??
「扶養控除内」には、3パターンあります
2, 従業員が501人以上の企業で勤務日数、勤務時間など諸条件によって自らに社会保険加入義務が発生する「106万円の壁」
3. 配偶者の社会保険の扶養から外れる「130万円の壁」
繁忙期などでどうしても時間外労働が発生してしまう場合は、他の勤務日の労働時間を調整する必要があります。
終わりに
勤怠管理について、「方法」と「メリット/デメリット」について説明しました。
法的に義務付けられている為、必須項目ですのでしっかりとした整備が必要です。また、勤怠管理を適正に行うには、労働に関する基準が社内に正しく整備されているかどうかも重要です。
コンプライアンスが重視される現代において、勤怠管理は今後ますます重要な業務になっていくと思われます。